本堂の宮殿・天蓋・憧旛・柱などを泡洗浄する場合、養生フィルムを
使用します。これを柱・長押・壁などに留める場合、押しピンでは
木の建造物を傷つけますし、一般的な接着テープや接着剤では剥がし跡が
生じ、本堂を汚します。
そのため、トラブルを回避するために養生フィルムをしっかり接着しますが、
養生終了後に剥がし跡(糊残り)が生じない弱粘着テープを採用します。
弱粘着剤は基材の高分子物質を弱い架橋性化合物にして、被着体
(柱・長押・壁の木材や漆膜など)の接着力より高分子間の結合力を強くして
剥がし跡(糊残り)を残さない仕組みにしております。
高分子間の結合が強いということは、弱粘着剤が被着体の接着力で弱いと
いうことでもあります。
また、弱粘着テープには養生フィルムの重さを支える力しかかかりませんので、
養生フィルムは養生の役目だけの軽いほうを選びます。
<被着体(柱・長押・壁の木材や漆膜などの塗膜)に剥がし跡(糊残り)を残さない方法>
@弱粘着剤も接着したまま長時間放置すると、粘着剤が溶け出し漆膜などの
塗膜を傷めることがありますので、接着時間を短めになるように作業工程を
検討します。
A糊残り・被着体破壊防止のため、テープを剥がす際はゆっくりと丁寧に
剥がします。
B傷んで表面強度の弱い被着体(柱・長押・壁の木材や漆膜などの塗膜など)
は粘着剤でさらに被着体破壊を進める恐れがあります。
必ず、目立たない部分で確認テストをしてから使用します。
★もし、被着体(漆膜などの塗膜)に剥がし跡(糊残り)が少しでも残った場合は
ホワイトガソリンをタオルに含ませ、硬く絞って拭き上げます。
しかし、これも目立たない箇所で確認テストを行ってから取り組みます。 |