大きな阿弥陀像なので、傷み具合を細かく調査するため 慎重に須弥壇から降ろし作業します。
埃や油煙で非常に汚れています。
徹底的に汚れを刷毛や筆で除去後、ぬるま湯程度に温めた泡洗浄剤で素早く綺麗にしました。
素早い泡洗浄は仏像に影響をかけません。
観音像の洗浄前と洗浄後
汚れは垂直面より水平面に貯まります。
何十年、何百年と経過しているうちにその汚れが固着してきます。
無理にそのこびりついた汚れを剥がすと金箔を傷めることになりますので、注意して作業していきます。
無機物汚れの埃よりも油煙で汚れています。
線香や燈明、ローソクをよく使用されている本堂ほど、油煙が多いです。
泡洗浄は油煙除去に非常に効果的です。
古い仏像ですが、傷みがありませんでしたので、泡洗浄で元の金箔がよみがえりました。
金箔が剥がれてなくなっていましたので、補修しました。
@舟形光(ふながたこう)の光背です。正面からみた光背で汚れています。
A裏返した光背です。透かし彫りが傷んで補修しているのが分かります。
B泡洗浄後の光背です。壊れた透かし彫りはこれ以上、傷みが進まないような補修処置をします。
『法華経』「普門品(観音経)」の経説である、人々の救済のために臨機応変に姿を変える
三十三身にちなみ考えられたのが三十三観音像です。長い年月で汚れています。
ひな壇に安置された三十三観音像の位置を忘れないためにをあらかじめ写真に撮ります。
それから、三十三観音像を壊さないように慎重に一体づつ降ろします。
三十三観音像を1体づつ調べると、汚れているのがよく分かります。
ひな壇から三十三観音像を次々降ろしていきます。
三十三観音像を1体づつ降ろし、広間に並べ、順番で泡洗浄を進めていきます。
泡洗浄すると綺麗になりました。従来のお洗濯は非常に高価になりますが、メイクリーン工法で泡洗浄して、
部分修復しますと昔の雰囲気が残り安く、綺麗に仕上がります。
施工後 |
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@泡洗浄で綺麗になった、飛天光の光背を配した観音像です。
A泡洗浄で綺麗になった、舟形光の光背を配した観音像です。
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@長年の汚れが積もった円光の光背を配した月光菩薩です。
A泡洗浄後、綺麗に仕上がりました。
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@長年の汚れが積もった観音像です。
A泡洗浄後の綺麗になった観音像です。
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弘法大師像のお顔の汚れ
お顔の汚れが気になります。お洗濯では新品の平成の仏像に生まれ変わりますが
お洗濯とは違う方法(彩色洗浄剤)できれいに除去し、伝統を残しました。
毘沙門天
新しいですが、ほこりがかぶっていますので、清掃してきれいにしました。
@七面大名人像
汚れていた七面大名人がきれいになりました。
塗り直しは、一切行っておりません。
厨子は、仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種で、
広義では仏壇も厨子に含まれます。奈良時代から存在していますから、
相当古いものもあります。正面の観音開きの扉を開くと中の金箔も相当汚れています。
屋根もホコリが貯まっていました。金箔を泡洗浄すると綺麗になりました。
写真では綺麗になった金箔が反射しています。
屋根の汚れを取り黒漆が甦りました。
不動明王の火炎光背は不動明王の体から発せられる火炎の赤色を表しているものですが、
火炎光背が汚れて、燃えさかる炎を勢いが弱まっていました。
赤い炎の色を塗るのではなく、汚れを落とすと、制作当時の鮮やかな火炎光背の色を甦りました。
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