広島県地方のある改築された小さなお堂に 古い十一面観音菩薩がまつられていました。
お厨子は新調されてきれいになっていましたが、 中に安置されている十一面観音菩薩は傷みが激しく、 彩色の顔料もはがれていましたので、 地域の方々は観音様を不憫に思い、仏洗濯の作業になりました。
納品時にはたくさんの方が集まり、喜んで頂き こちらも感無量になりました。
十一面観音菩薩には十一のお顔があり、 後ろのお顔は見えない所でも笑いながら生きていき、 後ろに隠れていても、すべて見ているので 卑怯なことはできない。などの意味があるとされています。
この観音さまは癒されない悲嘆・苦しみ・傷みのある人々を、 底知れぬ慈悲の力で救ってくれるという有難い観音さまから、 日本人は数ある観音さまの中でもこの十一面観音菩薩を 最も愛して大切に守ってきました。
この観音さまを静かに祈っていますと、 火災や天災から何百年も必死に守ってきた地域の方々の 仏教文化を感じさせてくれます。
このような十一面観音菩薩のお話は 井上靖著『星と祭』が参考になると聞きましたので、 読みたいと思いました。
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